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3月20日 減らない医療過誤06 日本の医療費は高くない

日本の医療費は高くない

 病院の規模にかかわらず、日本で医療事故が頻発するのは病院職員数が不足していることが主な原因なのに、医療制度改革の議論でそれが大きく取り上げられることはない。
 なぜなら、医療制度改革の目的は医療費の適正化にあり、改革とはあくまでも「予算配分」を担う国の経済政策としての位置づけに過ぎないからだろう。
 医療事故の存在が明らかになっても、専門職の教育研修内容や業務システムの改善を訴える報道はあるが、病院職員の増員を推進する具体的な声はほとんど聞かれないのが現状である。
 表は、平均入院日数などを諸外国と比較したものであるが、日本の医療を取り巻く人的物的環境がいかにお粗末であるか、が伺える。
 また、「医療費の適正化」といわれれば、昨今しきりに遡上にあがる「高齢・少子化」「リストラ」「不景気」などの文字とあいまって、何とか医療費の高騰を抑えなければいけないかのような焦りに似た感情に襲われるが、実際のところ医療費に占めるGDP比の国際比較を見ても、日本の医療費は決して高くない。
 公的な医療保険がないに等しいアメリカや根本的な仕組みが違う諸外国とは単純に比較できないが、人件費の引き上げも含めて、むしろ医療や介護の分野にはもっと予算と人手を投入してもいいのではないかという気がしてならない。
 その上で国民にも相応の負担をしてもらうといわれるなら、税金にしろ保険料にしろその値上げにも納得がいく。
 2001年に日本経済新聞社が行った病院アンケートによれば、医師や看護職員数が基準を満たしていない病院は約20%あったという。たとえ最低基準を満たしていたとしてもまだ不足なのに、それさえも達成できない病院が存在するのだ。
 未達成に対する罰則規定が生ぬるいことも背景にはあるといわれるが、十分な職員数を取り決めた基準と、かつ適度に厳しい罰則規定があったほうがよほど患者は安心なのではないだろうか。
 関西の大学病院で働く26歳研修医の過労事件(2001年)は記憶に新しいところだ。
 若くして心筋梗塞で死亡した彼の勤務時間は週100時間で月給はなんと6万円、労働時間に換算すると時間給150円の計算になる。研修医にまで正当な賃金を支払えば、低い保険点数のもとでの経営はたちまち破綻してしまうという病院の言い分もさすがに聞き入れられず、この件は労働基準法違反で書類送検になった。
 私たちは、研修医に対する扱いはどの大学病院も50歩100歩であることを知らなければならないだろう。
 今や格安チケットの登場で、海外への航空運賃も驚くほど安くなった。
 下手すればニューヨークで盲腸の手術を受けるよりも、格安チケットで日本に飛び、日本で手術を受けたほうが安くできるかもしれないと、嘆きつつ教えてくれたのは、前項で紹介した本田医師である。まさに笑うに笑えないホントの話とはこのことであり、今のところ多くの実例が制度改革には何等反映されていない現実が一番情けない。

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